海運業界の動向(1)

海運業界の厳しい動向について、日経が報道しているので紹介。需給の緩みなど、多様な問題があるようですね。


海運会社と船舶金融 災害の影響 2012年9月24日月曜日

海運会社のファイナンスについては、上記参照。

息の長いビジネスなので、市況の急激な変動は、船舶建造のために調達した借り入れの返済などに、影響が生じます。

詳細は上記ご参照。

下記は、日経の記事のまとめです。

供給の増加

・リーマンショック前に大量発注の船舶の就役(供給の増加)

需要の減速

・中国の景気減速(需要の減速)

運賃価格の低迷


・運航コストは1日2万~2万5千ドル

・一時、運賃市況が1日3千ドル(約24万円)割れ。足元の運賃は1万ドル台に戻すも、赤字。

・08年5月には20万ドルを超えていた。


需給ギャップの表面化と対処

・今年、世界でケープサイズ換算で250隻分の新船が完成するが、「輸送需要は50隻分しか増えない」(川崎汽船)。さらに来年は新船が127隻分増える。

・商船三井も「年内に11隻を解体か係船する」(永田健一常務執行役員)。

法令違反

・カルテル問題(法令違反)

日経記事 試練の海運(上)

試練の海運(上)大手、資源船縮小にかじ―車・LNGにも不安の芽。

2012年10月23日 13面

海運業界が試練の時を迎えている。
2008年秋のリーマン・ショック前に大量発注された新船の完成を待ったかのように欧州や中国の景気が減速し、鉄鉱石や石炭を運ぶ資源輸送船(ばら積み船)の需給ギャップが顕在化。

安定収益源と期待する自動車輸送には「カルテル問題」が持ち上がった。荒波を乗り切れるか、かじ取りが試される。

運賃3000ドル切る
 
「衝撃的だ」。8月下旬、ケープサイズと呼ぶ大型ばら積み船の運賃市況が1日3千ドル(約24万円)を割り、海運大手幹部は絶句した。

08年5月には20万ドルを超えていた。運航コストは1日2万~2万5千ドル。足元の運賃は1万ドル台に戻したが、赤字が続く。
 
今年、世界でケープサイズ換算で250隻分の新船が完成するが、「輸送需要は50隻分しか増えない」(川崎汽船)。さらに来年は新船が127隻分増える。
 
大手は需給引き締めのため、運航をやめる「係船」だけでなく船の解体にも踏み込む。

114隻のケープサイズ船を運航する日本郵船は「今期中に10隻は減らす方針」(小笠原和夫経営委員)。船齢15年程度のまだ稼げる船も処分対象だ。
 
商船三井も「年内に11隻を解体か係船する」(永田健一常務執行役員)。

12年3月期に最終赤字に陥った大手3社は、身を切って運賃回復の決意をマーケットに示そうと懸命だ。
 
海運業界は好不況の波が大きく、船舶の供給過剰や円高が深刻化した1980~90年代の不況は企業集約で乗り切った。98~99年には郵船と商船三井を軸に合併が相次いだ。

今回は個別に船舶削減に動いているが、ばら積み船は世界的に中小業者が多く、足並みがそろうかどうかが課題だ。
 
大手各社が活路とみているのが、長期輸送契約で安定収益が見込める自動車運搬船と液化天然ガス(LNG)船だ。

ばらつきはあるが、大手の現在の売上高構成はばら積み船が2~3割、自動車船とLNG船が各1割前後とみられる。
 
自動車船は新興国発着の三国間輸送などが増え、川崎汽船と商船三井は今年度の輸送台数が最高になりそう。

郵船は今月、リーマン・ショック後初めて新船4隻を発注した。従来より1割多い約7千台を運べる。
 
国内の火力発電向けや新興国の利用拡大で、LNG需要も底堅い。商船三井は20年までにLNG船を現在の4割増の100隻規模に拡大する方針だ。
*カルテル疑惑
 
ただ順風満帆というわけではない。自動車船では9月にカルテル問題が浮上。輸送運賃を巡って海運十数社がカルテルを結んでいたとして、独占禁止法違反の疑いで公正取引委員会が立ち入り検査した。
 
調査に時間がかかりそうだが、課徴金が総額100億円規模になる可能性がある。欧米当局も疑いを持っており、「期待の星」が足を引っ張る恐れもある。
 
LNG船には投機マネーが流れ込み始めた。ガス田開発などに連動して建造されるのが一般的だが、ギリシャの船主などに長期契約がない「フリー」の状態で新船を発注する動きがある。

国内でも「異業種企業から船を造るので運航を任せたいと打診があった」(海運大手幹部)という。
 
17年末には世界の13%強を占める60隻以上がフリー船になるとの観測もある。需給バランスが崩れれば、ばら積み船の二の舞いになりかねない。

海運業界の動向(2) 日経記事 試練の海運(下) に続きます。

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